賃貸の原状回復ルールを正しく理解する
退去時のトラブルを避けるために、まず「何が借主負担になるか」を正確に把握することが重要です。国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常の生活によって生じる傷や汚れは貸主(大家)負担とされています。
借主負担にならないケース(通常損耗)
- 画鋲・押しピンの穴:壁に絵を掛けるなど日常的な使用で生じた小さな穴
- 日照による壁紙の変色・褪色:自然な経年劣化
- エアコン設置の壁穴(入居時から設備として存在していたもの)
借主負担になるケース(故意・過失)
- 釘やネジで開けた大きな穴(2cm以上が目安)
- ドアノブが壁に当たってできた穴
- タバコのヤニによる変色
- ペットによる傷・汚れ
- 引越し時に生じた傷
判断が難しい場合は入居時の写真や契約書を確認し、必要であれば退去前に管理会社に事前相談するのが賢明です。
DIYで補修できる壁穴の目安
小さな穴(直径1cm以下)
釘・ネジの穴やドアストッパーが当たってできた小穴は、穴埋めパテだけで補修可能です。白い壁紙であれば白色パテを使えば目立ちにくく仕上がります。
中程度の穴(直径1〜5cm)
壁紙補修シール・パテ・クロスのりの組み合わせで対応できます。穴を埋めた後に壁紙の色に合うシールを貼ることで、ある程度目立たなくできます。
大きな穴(5cm以上)
石膏ボードの補修が必要で、難易度が大きく上がります。石膏ボード用の補修材(ファイバーテープ+パテ)で埋める方法はありますが、作業の難易度と仕上がりの問題から、この規模になると専門業者への依頼を検討した方がトータルコストが低くなることもあります。
壁穴の補修手順(中程度の穴・1〜5cm)
必要な材料
- 穴埋めパテ(壁補修用)
- ヘラ(付属品または100均のもの)
- 耐水サンドペーパー(#400程度)
- 壁紙補修シール(壁の色に合わせる)
- マスキングテープ
- 乾いた布
作業手順
- 穴の周囲の清掃:ほこりや壁紙のめくれを取り除き、穴の縁を整える
- マスキング:穴の周囲に沿ってマスキングテープを貼る
- パテの充填:ヘラでパテを穴に押し込み、表面より少し盛り上がる程度に充填する
- 乾燥:パテの種類にもよるが、24時間以上乾燥させる(速乾タイプは2〜4時間)
- サンディング:乾燥後にサンドペーパーで表面を平らに仕上げる。周囲の壁面と段差がなくなるまで丁寧に行う
- マスキング除去:テープを剥がし、余分なパテを除去する
- 壁紙補修シール貼り付け:壁の色・柄に合ったシールを補修箇所に貼る。空気が入らないよう端から押さえる
- 仕上げ確認:日光・照明の角度を変えながら仕上がりを確認する
退去前のチェックポイント
退去の1〜2ヶ月前に以下の項目を確認し、必要な補修は計画的に行いましょう。
壁・天井
- 穴・傷の有無(特に釘・ネジ穴)
- タバコのヤニ・油汚れ(クロスの変色)
- 落書き・シール跡の有無
床
- フローリングの傷・凹み
- カーペットの汚れ・毛焼け(日焼け跡と区別)
その他
- ドア・引き戸の傷・汚れ
- 窓ガラス・サッシの傷(通常の汚れは除く)
- 水回りのカビ・水垢
補修してはいけないケース
以下の場合は自分で補修せず、退去立会い前に管理会社へ正直に報告する方が後々トラブルになりません。
- 補修範囲が広く、自分では対応しきれないと判断した場合
- 構造材(柱・石膏ボード本体)にまで及ぶ大きなダメージ
- 水漏れが原因で生じた傷・腐食(管理会社側の責任になる場合あり)
壁の傷・穴の状態を写真で確認し、DIYで対応できるかどうかをAIに診断してもらうこともできます。